スライドギターの話
2006年 07月 15日
冷房なしでは、もはや全く何もやる気になりません。頭が動かないです。というわけで、冷房に頼りっぱなし。スティーヴィー・冷房(←頭が動いてない兆候)。
たまにはギターに関する記事も書かないと、このブログの趣旨がいんちきなので、書きます。
テーマは「スライドギター」で。
スライドギター。
決してギター自体が滑るわけではありません。何をスライドさせる(滑らせる)のかというと、お酒のボトルの先であったり、薬のビンであったり、ジャックナイフであったり、金属製のライターであったり、それはもういろんなモノが滑ります。
・・・?一体なんのこっちゃ、と。
普通ギターの弦は指でネック(とフレット)に押さえつけて音程を出します。普通に押さえると、1オクターブが12のフレットで区切られているので当然1オクターブの中では12個の音程しか出せません。
じゃあ逆にフレットが動いちゃったらどうよ?・・・という発想で、押弦する指に、フレットに見立てた金属を装着し、弦の上を滑らせて自由な音程を得る・・・というのが、スライド奏法です。文章で書くといと分かりづらし。
詳しい起源や誰が発明したのかは知りません。教えてください(笑)。
でも、最初はきっと偶然の産物だったと思うのね。
練習に疲れて、仰向けでグデ~ってギターを爪弾いてて、たまたま何かの小ビンをギターの上で滑らせたら滑らかな音が出ちゃったよ!(さまぁ~ず三村風)みたいな。
スティールペダル(ペダルスティール?どっちでしょうか)という、スライドに完全に特化した形態の楽器があります。(右写真:スティールペダルの雄、ロバート・ランドルフ)
ハワイアンなんかでよく聞かれる「ファ~~ン」という死ぬほど気の抜けたあの音。
ギタリスト的見解からすると「どうせスライドするんだったら、ギターを抱えて不安定なまま弾くんじゃなくて、寝かせて固定しちゃいましょう」的楽器なのですが、ギターとこれと、どちらが先なのか?弦楽器の歴史なんていったらはるか古代にのぼってしまうでしょうが、意外とスティールの方が先だったりして・・・。
ギターに対し、「敷居の高いスライド奏法に特化していて、かつ楽器も固定で動けない」というスティールペダル。
故に、
「スライドへの崇高な姿勢」
すら感じ取れ、スティールペダル奏者がバンドにいると、それはもうインパクトがあります。
・・・て、すげえ脱線した(笑)。
スライドギターは、スティールペダルからヒントを得たんじゃないか?ということが言いたかったのに。
いや、きっとスライド奏法は、偶然見つけたんだと信じています。
奏法に使われる「滑らせるモノ」=スライドバー。
ここで バーの材質に話を移しましょう。冒頭で「いろいろなモノが滑る」と書きましたが、棒状で多少の質量さえあれば何でもスライドバーになりえます。
スライド奏法がボトルネック奏法という別名を持っている通り、お酒などのビンの先端を切って使われたりします。なんかこの製法って妙にブルースっぽくてかっこいいですね。バーでケンカになっちゃって、いきなりブルースメンが酒ビンを持ってガシャーンて叩き割って、何すんのかと思ったらスライドかよ!みたいなシチュエーション・・・(妄想)実際は実用に耐えうるレベルに割るのはかなり難しいらしいですけど(笑)。
ちなみに憂歌団の内田勘太郎さんはカルピスびんの先端を愛用し、デュアン・オールマンはコリシディンという薬のビンを使ってたそうです。
最近ではスライドバーもいろんなモノが売っております。材もガラスやブラスは勿論、牛骨なんてものもあるそうで。形も、指にフィットするような実用的なものからハート型のもの(なんていうか、痛いなぁ(笑))まで。
少なくとも、
ハート型のスライドバーで
「Rollin' And Tumblin'」は
やってはいけないと思うぞ(笑)。
中央と右はPICKBOYのやはりブラス製。これは二個1セットで売ってました。都会のデカイ楽器屋に行って「何こんなちっさいスライドバーあんの?」と言って(やはり使いもしないのに)買ったものです。
ですが、小さい方は、指への収まりが悪いのと、充分な重さがなくて音が軽すぎるので使い物になりませんでした。
大きいほうは、筒状になっているので先のYAMAHAのものに比べると随分軽いです。この「軽い」という点で音色的にも軽いのでほとんど使ってなかったのです。・・・が、操作性に優れているので、ヴィブラートがしやすい→フレーズが豪快になるということで、音が軽いという欠点を補って余りあるということに最近気づきました。以来、コードプレイなんかではこちらも使ってます。
ちなみに、ブラス製ばっかりなのはたまたまです。材質は音色に密接に関わってますが、私はリアPUでキンキンガシャガシャ弾きたいと思っていまして。ガラス製だと音が落ち着いてしまうような気がするので、ブラスを使ってます。実際はどうなんでしょう?
ともあれ、スライドギターは難しいんですよ。
まず、正確に音程をとれる耳が不可欠(まーそれは普通にギター弾く上で不可欠ですけど)。普通にギターを弾く場合、音程をとることはフレットに任せている部分が大きいです。それがギターをイージーにさせている大きな要因だと思います。鍵盤にいたっては、鍵盤さえ間違えなければ音程がずれてしまうことはないですね(チューニングが合ってれば)。
一方のスライド。勿論、ギターのフレット上にスライドバーを持ってくればそのフレットの音程が出るんですけど、それは目で合わせるのではなく、音程を聞いて耳で合わせることがほとんどだと思います。この正確なピッチコントロールができれば、無限の音階を手に入れられるわけですから、表現は通常の押弦プレイよりも格段に広がります。
このスライドという奏法はブルースにはまさにうってつけの奏法だったわけで、ブルースの巨人たちの多くが取り入れています。ぱっと思いついたのはエルモア・ジェイムズ、マディー・ウォーター、ロバート・ジョンソン・・・って、ベタだな~(爆)。
そしてロックがブルースするときも、当然のようにスライドが用いられるわけです。ロックなスライドギタリストといったら、真っ先に思い浮かぶのはオールマンブラザーズのデュアン・オールマン。うん、ベタだな~(笑)。
で、もう一人、やっぱりこのブログだから挙げないわけがないです。ロック、ブルース、スライドときたら、ジョニー・ウィンターしかないでしょう。
いや~、前置きが長かった。
私はこれまでスライドは非常に消極的だった(というより積極的に避けてきた)わけですが、最近ちょっと機会があって、スライドを練習しているのです。
ぎゅわ~ん、ぐわ~ん、ちゅいんぅわわ~ん、と。
この音色が、実に暑苦しい(笑)。
先に挙げたハワイアンのスティールペダルは即座に南の島へと運んでくれるのに、同じ奏法でもフレーズ次第ではテキサスのど真ん中に連れて行かれてしまうのだからたまったもんじゃない。おいらのスライドはジョニーの真似っこだから当然後者に含まれ・・・。
これなら行き着くとことまでいって、いっそドブロが欲しいな~なんて思ったりして。
イメージはまさに上のジョニーの写真。この写真を見ながら「そうそう、コレコレ。やっぱドブロはこれだよな~」なんて思ってたんです。
・・・が、ジョニーの機材に関する特集記事を読んでいて、衝撃の事実発覚。
上の写真でジョニーが抱えているギターですが、
これ、ドブロじゃないぢゃん!
わたしゃてっきりこういう形のギター(リゾネイターギター)をドブロと呼ぶもんだと思ってたんですが、ドブロというのはギターのメーカーの名前なんですね・・・。リゾネイターギターで有名な2つのメーカーとして、ドブロとナショナル(松下系ではない(笑))がありまして、しかもドブロは、ナショナルから独立した
ドペイラ兄弟による会社で、
ドペイラ・ブラザーズ略してドブロ
らしいです。はいここテスト出ますよ。
ドブロとナショナルでは、リゾネイターの形状が異なるそうですね。上の写真でジョニーが抱えているのは、ナショナルのデュオリアン。つまり、ドブロじゃない・・・と、そういうわけでした。
う~む、ドブロ欲しいな~。ついこの前、やっとストラトのローン払い終えたのにな~・・・。(爆)
なんて全部書いたら、異常に長くなってしまった・・・。